MOTOBLOG:  熊革 

2022-11-16

 熊革 

 

今回ご紹介するのは、なんと

北海道のヒグマ革です。

おそらく手にしたことのある方は相当少ないはず。

一般には殆ど流通していない、大変希少な革になります。

近年、日本で有害鳥獣として捕獲、駆除される野生動物は年間約100万頭。

そのなかでジビエ肉として流通できているのは10%程度。

革として利用されるのは更にそのなかの1%も満たないよう。

命を無駄にせず、皮まで余すことなく利用し、

社会に循環させようという活動が徐々に広がっています。

自分が初めて駆除された野生動物の革を見たのは、随分昔のこと。

それは、鹿革だったが、本当に活動の初期段階だったと思う。

できることなら何か協力したいと考えたが、

その当時のジビエ革は、革としては余りにも質が悪かった。

表面の傷や汚れの問題でなはなく、

恐らく様々な問題が重なっていて、皮自体の管理が十分できなかったのだろう。

その後もジビエ革はずっと気にしていたが、自分の力不足もあって、

使いたいと思うには至らなかった。

しかし、見る度に、確実に革のクオリティーは上がっていた。

少ないながらもジビエ革として流通している大半は鹿革。

自分が過去に見てきた革も、鹿か猪だった。

熊の捕獲量はそれらに対して桁違いに少ない。

熊革自体は知っていたが、今年に入って父親の代からお付き合いのある

タンナーが熊革を鞣していることがわかった。

信頼のおけるタンナーなので、直ぐに連絡を取り送ってもらった。

革の出会いはやっぱり運と縁なのかな、、。


これが、なんと、めちゃくちゃに良い!!!


もはやジビエとか、そういうことは抜きにしたって、単純に革として良い!

実を言えば、他のところで熊革は過去に見たことがあった。

それはそれで十分良い革だったが、正直ジビエ革としては良いという感想だった。

自分が今までジビエ革を使えなかったのは、使いたいと本心で思えなかったのは、

その辺りに理由があったのかな、、。


長々書いてしまいましたが、とにかく今回のヒグマ革は自信を持って

お勧めできる素晴らしい革なので、ご紹介していきます!

ヒグマ・ブラック

こんなシボ立ちの革は他で見たことがありません。

立体感があって、1つ1つのシボがしっかり立っている印象。

銀層がめちゃくちゃしっかりしている。


今回のブラックはワックス仕上げになっているのでしっとりしていて、
メンテナンスもほぼいらないでしょうね。迫力あります。


ナチュラルは、ほぼクラスト状態。
色が入ってない分、革の質がよく見えます。

写真の手前側が床面になります。
ピンホールが無数に見えますがこれらは毛穴の跡。
ヒグマの毛はそれだけ太くしっかりしているんですね。

それに、床の繊維が全然バサバサしてなくて、密度が高い、良い革の証。


銀面のアップ

表面にも毛穴の跡が見えますね。
ピッグレザーにも似ていますが、毛の生え方が異なります。

ヒグマ革を扱うのは生まれて初めてなので、
製作に入る前にタンナーに直接話を聞く必要を感じ、暫くぶりに伺った。

野生動物の難しさ、家畜動物との違い、タンニン剤のこと、自脂のこと。
聴けば聞くほど、最終的には技術者のセンスに依るところが大きいようにも思った。

今回のヒグマ革は2色ともフルベジタブルタンニン鞣し。
どちらも十分に経年変化が味わえます!


野生だろうが、家畜だろうが、一つの命に変わりはない。
同じように無駄なく、大切に、扱うだけですが、

北海道の自然を生きた熊を想像するからなのかな、
ただそこに置いてある革を見ているだけで、確かに感じるものがある。



全然商品紹介までたどり着かず、すみませんでした。


ヒグマ革から受けたインスピレーションは、

『 静かで、力強く、凛とした緊張感 』

ヒグマ・ブラックに合わせた本体は、
MOTOで最も古くから何十年と変わらず使い続けているイタリアンレザー。

ヒグマ革はシボが強く、銀面もハードなので、
経年変化で光沢感が上がってきます。

MOTOの絶対定番イタリアンレザー・ブラックの
エイジングの良さは時の長さが実証済みです!



クロコダイルのような見た目のインパクトはないですが、自分が感じる

日本の自然で生きた強さは表現できたかなと思います。




FW1



ヒグマ革・ナチュラル
本体は、美しい肌のベルギーヌメ。




























革好きなら、一度は通っておきたい革じゃないですかね?

どちらもとても強い革です。
ゆっくり、長く、エイジングを楽しんでいただきたいと思います。

と、ここで終わらないのがMOTOです。



ヒグマレザー 手染めネイビー!!

ただでさえ流通量がほぼない、ヒグマ革を手染めしちゃいました!

ここにしかない。MOTOでしかやらないアイテム。

(ヌメを見ると、染めたくなる、染まった先を見てみてみたくなる)















本体はベルギーヌメの手染めです。

ヒグマ革にムラ染。

どこまで行っちゃうのか、、自分でも怖いっ。。